Column

Washokuの香@Paris Vol.1

ドリンクサーヴィスの魔力

先日、パリのマレ地区3区にある、クラフトカクテルバーを掲げる「SAKA」という店で、和の料理とドリンクのペアリングディナーが開催されました。1月中旬2月まで全8夜にわたるイベント。料理を手がけるのは藤井広司さん、ドリンクを手がけるのは松本恵一さんで、サプライズ溢れるドリンクのサービスとペアリングは、学びがあり秀逸でした。

藤井さんは、日本ではもちろん、パリの和食の1つ星「AIDA」や、日本酒だけでなくシャンパーニュのリストが豊富な和食店「ENYAA」などでの経験のある料理人。松本恵一さんは、パリの日本人社会で愛される某レストランオーナーシェフの日本人夫婦のもとで生まれ、幼少の頃からレストラン経営親しんできた人物です。学業はアメリカで修め、現在は日本酒を世界の人々に知ってもらうことを情熱の一つにしてしています。日本酒を扱うからには、日本酒造りも学ばなければならないと、蔵でも長期に渡り修行をしたという強者です。

「SAKA」に到着してすぐにサービスされたのは、水出しの煎茶。優しい味わいの黒文字の香りも忍ばせて、仄かに柚子と、エキゾチックな香りを放つコンバハ(Combava:タイとマレーシア原産のコブミカン)の皮をすりおろしてサーヴィスした繊細な煎茶で、なんとも言えないディナーの幕開けを約束してくれたのでした。

鱒と発酵根セロリの先付には、超辛口の純米酒「大那」を。杉徳利に入れて、香りをほのかに乗せることで、ダイレクトな辛口にまろみが加わり、鱒のとろけるような食感、またほんの少しスモーキーな味わいが料理を引き立ててくれます。

雲丹を乗せトロンペット茸を和えたスズキの蕪蒸しには、純米大吟醸「Rumiko no saké」を錫の器でサービス。錫の器が酒のミネラル感を増して、調味料のようにお椀を引き立てていました。

ルジェ(ヒメジ科の海水魚)の刺身にも、肝を使ったソースが添えられ驚きましたが、それに合わせたのは京都府白杉酒造の「ブラック・スワン」。飯米であるミルキークイーンに、黒麹を使って仕込んだ、柑橘のような酸味ととろりとした食感が特徴的で、野生的なルジェと肝ソースとのハーモニーが抜群でした。

その他も熱燗の温度を変化させたり、器を変えたりと、日本酒のサービスの奥深さに魅せられたひとときでした。ワインでは経験できない楽しみが日本酒にはある。

最後に奈良産紅茶をその場で焙じたお茶も出してくれました。これまた豊かな旨みと香ばしさが溢れ出るよう。

それぞれの味わいはさることながら、器や温度、熱の加え方、組み合わせなどで、繊細な香りを楽しむことができるのは、和食の独特な世界かもしれないと感動した夜でした。フレンチはどちらかというと、肉やパンの焼けた後に代表されるような、食欲をグッとそそられるメイラード反応による香りが先行するような気がします。

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